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8月18日~8月22日(毎日スキルアップ通信で紹介)


   ビジネスプロフェッショナルの仕事力
 
  岡島悦子監修 日本経済新聞社 2008.6.18
                    


 IT化の進展により情報の海に溺れて自分で何をしたいのかわからなくなってしまう人が多い。

 本書では「結果」を出すために情報の生かし方に精通した7人のプロフェッショナルが登場する。

 彼らから「時代を読む力」、「時間と頭をうまく使う力」、「結果を出すための基礎的な知識・能力」など、勝ち続けることができる仕事力を学ぶことができる。


 最初に紹介される達人は、ボストン・コンサルティング・グループ日本代表の御立尚資である。
 
 御立氏は、若手のビジネスパーソンの育成を通して、少しの努力で結果を出せる人と、努力しているのに結果が出せない人に分かれることに気づいた。

 結果を出す人は、結果から逆算して、必要な知識や情報を手に入れるようにしている。
 結果を出せない人は、能力を伸ばすことばかりに意識が向いて、きりがない状態に陥っている。

 結果は「クライアントが喜んでくれた」「消費者が喜ぶ商品を世に送り出した」でいい。その結果をイメージすることで短時間に濃い情報を集めることができる。
 それらの情報を加工・統合して、さらに人や組織を動かし、結果を出すことができる。
 人によって仕事のスピード感が3倍も5倍も違うように見えるのは、彼らは結果から逆算して仕事を始めることができるからだ。


 本田直之氏は、新聞は4紙、雑誌は40冊近く購読している。さらに単行本は1時間に1冊、毎日1冊以上は読んでいる。

 情報収集にかける時間はそれほど多くない。少ない時間で大きな成果をあげられるようレバレッジ効果を効かせているからだ。

 何のために情報を得るのか目的を明確にすれば余計な情報が目に入らなくなるので収集にかける時間は短くて済むという。

 目的を2つに分ける。
 1つは、長いスパンの「目標」。五年先、十年先の自分のキャリアを考える。
 もう一つは「課題意識」。日々の仕事や生活の改善するにはどうすればよいか意識する。

 いらない情報は徹底的に捨てる。
 どんな情報が不要か劣後順位を決めておくとよい。
 インプットした情報はメモに残す。
 それを持ち歩き、すき間時間に何度も読み返し頭にたたき込むようにする。
 100冊分の本をメモにする時間は5時間。
 100冊分を100時間かけて読み、その後何もしなかったら記憶にほとんど残らない。あと5時間の作業を惜しんだためにたくさんの知的財産を失うことになる。

 本を読むよりも人に教わる方が印象に残るので記憶への定着率が高い。
 会社内では自分に似たタイプで成果を出している人をターゲットにするとよい。

 変なプライドやこだわりを捨てて人に教わる術を身につけた方がいい。
 相手がライバルで教えてくれなければ見て盗む。
 できれば相手に配慮と尊敬を示し、自身の人脈に取り入れるようにしたい。



 勝間和代さんは「情報こそ現代の通貨である」と考える。
 良質の情報を持っていたり、情報をうまく加工して新しい情報を生み出す能力を持っていれば、それをお金に換えることができる。

 さらに、情報発信者になれば、逆説的にも思えるかもしれないが、楽に情報が入ってくるようになる。

 勝間さんは本を出版したおかげで、様々な分野で活躍する人と知り合うことができた。

 例えば、プロ棋士と知り合い、将棋の世界でも知的生産に必要なのは体力であることを知る。また、突出した才能がなくても経験知を長年かけて積み上げていくことで、いつかは若い頃から天才と言われ続けてきた棋士にも追いつくこともできることも知った。


 情報は本の出版に限らない。
 ブログの書き込みに対しても訪問者からいろいろな情報をもらうことができる。
 勝間さんのポリシーは「お金がかからなくてすぐにできることはみんなやる」。
 たとえば、勝間さんは自分の著作を紹介してくれているブログを専門サイトの無料検索で調べ、お返しに自分のブログでリンクしてあげるというような作業までしている。

 ブログは、経済指標だけでなく、直接マーケットに触れることでナマの情報を手に入れることができるので使わない手はないと考えている。


 行動科学マネジメント研究所所長の石田淳氏は「部下を動かそうと
思ってたくさんの情報を与えても部下は動かない」と言う。

「売上げを前年より10%アップしよう」「チーム間、部門間の連携を
強化しよう」は、結果を示す情報であって、その結果に至る行動につい
ての情報は含まれていない。
 ゴールを示して好きなように走れといって最短の距離で走ることが
できる社員は2割ぐらいしかいないと思うべきだ。
 全体の8割の売上げは2割の社員が貢献している(8020の法則)

 だから、2割の貢献しかしていない8割の社員の行動に焦点をあてる
べきだ。
「既存顧客を1日5件訪問する」
「訪問先でキャンペーンの告知をする」というように行動目標を与える。

 リーダーに求められるのは結果に直結する行動をみつけることだ。
 それを具体的な数値目標にまで落とし込む。
 そして結果を本人にフィードバックする。
 うまくいった部下には"ごほうび"を上げる。
 リーダーは全体の目標(たとえば目標売上10%)にどれだけ近づい
たか評価する。

 リーダーは、社員の能力を最大限まで引き出す手腕が問われている。


コピーライターとして著名な糸井重里氏は(株)糸井重里事務所の代表を務めている。
 就職シーズンになると彼の会社に「勉強ができます」「ウエブデザインができます」というような「ラベル付き」の若者が面接にやって来るようになる。

 ラベル付きの若者は採用しても使えない場合が多い。
 ラベルは親や世間が評価するもので本人が評価するものではない。
 自分にとって何が大切なものなのかわかっていないことが多い。

 わかりやすく言えばこういうことだ。
『ラベル付きの男性Aが意中の女性に告白してフラれる。
 女性はラベルどころかカネも才能もない男性Bが好きと言う。
 驚いたAはどうしてと聞く。女性は「だっていい人よ」と答える』

 この価値観がラベル付きの人間にはわからない。
 価値観を明確にする意味で「勝利しない恋愛」はタメになると説く。

 バカになっていろいろなことを経験したほうがいい。
 体当たりで経験すれば人の気持ちがわかってくる。
 うれしいとか正しいではなく、悲しいことや悪いことも含めた人間の混沌として情の部分がわかってくる。

 この「情の部分がわかる」という力が、最後には仕事で重要な役割をはたす。
 人間の「こころ」がみえるということは、消費者の「小さな声」が拾えるようになるということでもある。

 自分が何を大切に思っているのかわからないままリクルートスタイルで身を包み就職活動に専念している若い人たちには、この本の第5章「"心"が消費と生産をクリエイトする 糸井重里編」をぜひ読んでほしい。

 ビジネスプロフェッショナルの仕事力
岡島悦子監修 日本経済新聞社 2008.6.18
 価格:¥ 1,575
http://www.amazon.co.jp/dp/4532490359/ref=nosim/?tag=johonet-22


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