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「仕事脳」 〜成功する人の脳の使い方
■■ 吉田たかよし ■■
■■ 講談社(2005.11.21) ■■
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著者の吉田たかよし氏は、超マルチ人間と呼ばれている。
これまでの経歴がすごい。
まだ40を超えたばかりの歳なのに、NHKアナウンサー、加藤紘一代議士公設第一秘書、医師と3つの職業を経験している。まったく違う業界で様々な経験を通してスキルアップを図ってきた。
アナウンサー時代には、論理思考、プレゼンについて学んだ。
政治家の秘書を勤め、交渉術、リーダーシップを学んだ。
医師になり、これまでの経験を振り返りながら、仕事ができる人の脳の使い方を総括した。
多くの脳の使い方に関する本が、医師の立場で書かれていたのに対し、吉田氏は、実践する立場と医師の立場の両方で書いている。
理論だけで書かれていないので、とても読みやすく、説得力もある。
吉田氏は、3つの職業を通して、共通することが一つあると言う。
それは、「仕事ができる人」と「仕事ができない人」が、はっきりしており、「仕事ができる人」は、どんな職業に就かせても、「仕事ができる人」になるに違いないという法則だ。
あなたのそばに、仕事ができると言われている人がいると思う。その人のことを考えてみてほしい。その人は、次の3つの力を持っているはずだ。
1.仕事の中で、見聞きした情報をしっかり脳の中に取り込む。
2.脳に取り込んだ情報を的確に分析し、何らかの結論を引き出す。
3.それを自分の脳から上司や顧客の脳に伝え、相手の納得を得る。
これらは、毎日スキルアップ通信でも取り上げてきたテーマでもある。
1の情報収集においては、速読力、記憶力、読解力などについて特集で扱ってきた。
2の情報分析においては、ロジカルシンキング、論文の書き方などで説明してきた。
3の情報伝達においては、コミュニケーション、交渉術、ディベート術などで取り上げてきた。
これらの能力は、不思議なことに学校では直接学ばない。
灘中学校、灘高等学校、東京大学と高い学歴を有する吉田氏自身が、自分の同窓生で驚くほどパッとしていない人が多いという。つまり、これらの能力は社会に出て自ら学び取るものなのだ。いったん社会に出てしまえば、脳をどう働かせればいいのか誰も教えてくれない。自分の脳をどのように働かせればいいのか、自身で考え、実践するしかないのだ。
仕事ができない人でも、適切な脳の使い方を習得すれば、仕事ができる人に変わることができるという。なぜなら、たいていの人間は高性能のコンピューター(脳)を有しているのだ。それに適切なソフトウエアさえインストールすれば、以前と見違えるように仕事ができるようになる。
本書は、著者の経験を通して得られた「脳の使い方」をわかりやすく伝えてくれる。本書で学んだことを仕事の中で実践し、「仕事脳」を育てていけば、必ず「仕事ができる人」に仲間入りすることができる。
出口汪(でぐちひろし)氏の『大人のための超スピード勉強法』を以前、紹介したことがある。その中で、忙しい人ほど、仕事でも勉強でもよい結果を出すことができるという話を皆様覚えていらっしゃるだろうか。
出口氏も超多忙のビジネスマンだ。
今までに、経験したことがないくらい仕事が集中し、何度も逃げだそうと思ったそうだ。
ところが、追いつめられた後、出口氏自身がわけのわからないまま、常人の業とは思えぬ力を発揮し始めた。それが、『大人のための超スピード勉強法』執筆のきっかけとなった。
その思わぬ力とは何なのか。
出口氏の著書は、医学的な理由までは触れていなかった。
今回、紹介する『仕事脳』の著者、吉田たかよし氏は、忙しいビジネスパーソンを経験した後、医師になった。このため、忙しいほど仕事ができる根拠を医師の目で分析し、脳医学の観点から明らかにすることに成功した。
追いつめられたときに、誰もが底力を発揮することができる。
忙しくなればなるほど、脳は驚異的な機能を発揮する。
もう、だめだと思いつつも、何度か急場を凌いできた経験は、皆さんないだろうか。若い人は、学生時代の一夜漬けを思いだしてみてほしい。
脳の「海馬」は、両耳の奥にあり、記憶をつかさどる。
その「海馬」は、ストレスが加わると、その機能を高めるそうである。
ちょうど、一晩ぐらいがいい。明日、大事な試験とか発表があり、勉強しなければならないようなときは、睡眠時間を3時間と決め、あせりと不安の中、ストレスを感じながら勉強をするのがよいそうだ。
「海馬」が待ってましたとばかり自ら機能を高め、覚えなければならないことをどんどん記憶することができるようになるそうだ。
ただ、2日も3日も緊張を続けていると、逆に「海馬」は萎縮を始める。
ベトナム戦争で長い間、戦い続けた兵士が、帰国検査で「海馬」が萎縮していたことがわかった。長いストレスは、逆に、覚えなければならないことを覚えることができなくなる。
あくまでも、一夜漬けが有効である。長く続けると、逆効果になる。
その理由は、ストレスが加わると、血液中のコルチゾールというホルモンが増え、これが短期的に海馬を刺激し、機能を高めるためである。
ところがコルチゾールは、炎症を抑えるために使うステロイドと同じ仲間で、増えた状態が長く続くと、ステロイドの副作用と同じで、次のような症状が出るので、要注意だ。
胃潰瘍、免疫力の低下、不眠、うつ病等々、
ストレスにかかったとき、一時的に脳の機能が高まらなければ、生命の危機に対処できないことになる。だから、一夜漬けで、勉強力が高まるのは、理にかなった生命のシステムからも説明できるのである。
胃腸は、たえず、粘膜の修復作業を行っている。
ところが、緊急事態になれば、胃腸のメンテナンスなんていっておられず、脳を刺激するため、体内はコルチゾールで占められるようになり、やがて、胃に穴が空いたり、胃潰瘍になったりする。
ストレスを上手に操り、ストレスのパワーを最大限に活かすべきだ。
1週間に1回くらいの一夜漬けは、脳を鍛えるため、基本的には、しないよりもした方がいい。
明日が、試験という日、気分を新しくするため、部屋の片付けを始めたら、止まらなくなり、勉強時間が短くなったという経験をお持ちの方はいらっしゃるのではないだろうか。
むかし、ともさかりえが受験生の役で、同じように、部屋の片付けを始め、気がついたら朝になっていたというショートストーリーのドラマを観たことがある。
実は、これも脳の働きと関係しているという。
ストレスは、大脳の帯状回前部と呼ばれる部分も刺激し、それが人間の心にいたづらをするらしい。つまり帯状回前部が刺激されると、脳が一つのことにとらわれやすくなるという。帯状回前部を極度に刺激しすぎ、これが壊れると、いつまでも手を洗い続けないと安心できない「強迫神経症」に陥ってしまうそうだ。
大事な試験前日などに、他のことが気になって仕方がなくならないようにする手だてがある。
一夜漬けを始める前に、簡単な計画表をつくるように吉田氏は薦める。
それを、A4ぐらいの紙に、大きく、1時間から2時間単位で、おおまかに、時間割をつくるようにする。計画はおおざっぱでいい。計画作成に関わりすぎると、ミイラ取りがミイラになる。
計画は、簡単に、大きな字で書く。
その時間割の中に、必ず3時間の睡眠は入れるようにする。
そうすると、帯状回前部を刺激しても、計画を見ながら実施することで、脇道にそれなくなる。
このメルマガを書いた後、無料レポートの作成を考えているkougaiは、まさにこれから一夜漬けを始めようとしている。
今年の9月、藤本憲幸氏が著した『仕事脳〜成功する人の脳の使い方』を御紹介したが、読者の皆様は覚えておいでだろうか。
「1日3時間睡眠法」である。
反響を呼び、たくさんの読者の方からメッセージをいただいた。
1日3時間睡眠の実践をまだ続けておられる方はいらっしゃるだろうか。
kougaiは、1週間に2回ぐらいのペースに落ちてしまった。
それでも1日たりとも6時間以上は眠らないようにしている。
藤本氏の1日3時間睡眠法の教えの中で、しっかり実践を続けていることが一つある。
それは、過眠も、寝る前の過分なエネルギーの摂取を防ぐことである。
おかげで、眠れない苦しみは、久しく味わっていない。
さて、医師吉田氏は、3時間短眠についても本書の中で深く論考している。
働いていると、1週間に1回程度は、ここはがんばらないといけないという正念場がやってくるものだ。吉田氏は1週間に1回程度は、短眠で知られるナポレオンから名がついた「ナポレオン睡眠法」を実践している。
3時間には、根拠がある。
人間の睡眠は、周期が1時間半なので、その倍数、3時間、4時間半、6時間の眠りが翌日、爽快な目覚めを約束するそうだ。
ただ、人によっては、微妙に周期がずれているらしい。
完璧を期すなら、日記帳を枕元に置いて、寝る時間と起きる時間、そして目覚めがさわやかであったか、つらかったかを毎日書き込むとよいらしい。そこから自分の正しい睡眠時間の周期を知ることができるそうだ。
ナポレオンのように、皇帝にまで登りつめるためには、相当忙しかったはずで、毎日が3時間睡眠でも仕方がない面もあったと思う。
人間は、眠っている間に胃や腸などの消化器官は、粘膜の細胞を入れ替える作業を行っている。いわば胃腸のメンテナンスだ。だから、眠れない日が続くと、胃炎や腸炎になる恐れもあるそうだ。事実、ナポレオンが右手をよく、ふところに入れていたが、あれは、格好をつけるためでなく、胃潰瘍の痛みを堪えていたからだと言われている。
そうはいっても、寝る前に何も摂らないことにすると、今度は脳が働かないことになる。
余り知られていないことだが、脳は人体の2%しか重量を持っていないのに、エネルギーは全体の20%を消費しているそうだ。
kougaiは、以前の職場で、何も食べないで夜まで残業を続けていると、よくエギレ(餌切れ)を起こしては、頭がぼーっとすることがあった。
人間の脳はグルコースをエネルギー源にしており、じっとしていても、相当のエネルギーを消費しているそうだ。
胃を荒らさないために、夕食を全然食べないというのも問題だ。
最初に、脳が働かなくなる。
エネルギーのグルコースをたっぷり脳に与える必要がある。
一番お薦めなのが、米であるそうだ。
やわらかめに炊けば、消化もよく、吸収にも時間がかかるため、長時間、血糖値を維持することができるそうだ。
深夜の予算折衝や、夜を徹しての災害報道などのときには、柔らかめの「おむすび」が絶大な力を発揮する。
恥ずかしい話、kougaiは、おむすびだけを食べるのは栄養が片寄って体によくないと頭から思っていた。でも、夜更かしする前は、脂肪分さえとらなければ、エネルギーを確保するため、おにぎりが有効であるということがわかった。
吉田氏は、人を評価するとき、IQテストなどには頼らず、相手に「会話の100本ラリー」を仕掛けるという。
10分間ほどで相手がどれほどの能力があるか、おおよそ見当がつくそうだ。
相手と会話のラリーを交わすとき、脳のさまざまな機能を使うことになる。
相手の話をよく聴き、自分の考えをしっかりまとめ、話しを組み立て、相手にそれを返さなければならない。
会話のラリーにおいては、脳の中核機能が総動員される。
聴 く・・・ウェルニッケ言語野
考える・・・情報の詰まった側頭葉から前頭葉46野を使って情報を探しだす。
構 成・・・ブローカー原野
会話のラリーは、次のとおり、仕事の進め方と基本は同じである。
情報収集・・・・・聴く
処 理・・・・・考える
アウトプット・・・構成
つまり、会話のラリーが上手になれば、同じような頭の使い方で、仕事もできるようになるのだ。
吉田氏が加藤紘衆議院議員一の第一秘書を勤めていた頃、事務所に、政治家を志望する若者が、よく尋ねてきたという。来訪者の力量を見極めるとき、吉田氏は、相手が用意してきたような得意な話を一方的にさせないようにしている。こちらから、話題をリードする。相手がその話題を知っているか、どうかなど気にしない。知りたいのは、いきなりぶつけて、どのようにリターンを返してくるか、その点である。だから、相手が門外漢で知識を全然持ち合わせていなくても平気だ。もし理解力、判断力、創造力が備わっていたら、何とかして形にして返してくれるからだ。知識の量は別にして、相手の返し方で力量は十分に知ることができるそうだ。
「えー、えーと、そうですね。それについては、えー、えー・・・」
では、失格である。
会話のラリーができるようになるためにはどうすればよいだろうか。
まず、記憶を一時保管する脳の「ワーキングメモリー」を鍛える必要がある。
ワーキングメモリーは、別名、「心の黒板」と呼ばれる。
目で見たこと、耳で聞いたこと、思いだしたことなどを、一時「心の黒板」に書き入れる。ところが面積が狭いので、新しいことを書き入れようとしたら、前に書いたことを消さなければならない。
この「心の黒板」を鍛えるため、簡単な計算を反復して行うと有効であることが知られている。今では、子どもはもちろん、お年寄りも、脳機能を向上させるため計算ドリルに精を出す姿が老人ホームなどでみられるようになった。
単純計算の代わりに役に立つのが、小刻みに返事を返す言葉のラリーである。
とにかく、なんでも打ち返して、つないでいく。
上司が目の前で大事な話をしているのに集中できず聞き逃したり、恋人があなたにいろいろささやいているのに他のことを考え、ぼーっとするようなことはないだろうか。それは、「心の黒板」が弱っている証拠だ。
さっそく、計算ドリルや、会話のラリーを試みるべきだ。
皆さんは、仕事を楽しめているだろうか。
楽しさを噛みしめながら仕事をしていると、「A10神経」が活発に働き、脳の機能が向上するという。
「A10神経」から記憶の中枢である「海馬」や、思考力を生み出す「前頭連合野」に枝が伸びており、楽しいと感じたら、枝を通してドパーミンが伝わり、それぞれの脳機関の機能を向上させるという。
同じ仕事をするのなら、「いやいや」でなく「うきうき」しながらやりたいものだ。
先週の東京出張の時、知人に借りた「県庁の星」という小説本を一緒に持っていった。旅先には本を持っていき、空港や、会議場での空いた時間を読書で埋めることにしている。そうした方が、旅にメリハリが出て、本を読んでいない時間に体験する旅先の出来事が鮮明に記憶に残るような気がするからだ。
その「県庁の星」は、来年の2月、織田裕二と柴咲コウ共演で映画化されるそうだ。その中で、織田裕二はバリバリの優等生の県庁マンを演じ、柴咲コウは郊外の百貨店でがんばるアルバイト店員を演じることになると思う。ストーリーは、優秀な県庁マンが郊外の百貨店に研修のため派遣されるところから始まる。
県庁の目玉事業として、特に優秀な職員が数名選ばれ、企業に派遣されることになったこともあり、主人公の県庁マンは、やる気の見えない田舎の百貨店を何とか改革しようとしてがんばるが、誰もついてこず、空回りを続ける。
県庁マンは、やる気のない店員たちの中で完全に浮いてしまう。
その後、柴崎コウ演じるバイト店員とのからみもあり、店員全員に、だんだんやる気が広がっていく。
やる気が出てくると、あれほどぐうたらに見えた店員からも、少しずつアイデアが出てくるようになる。
著者の吉田氏がいうように、仕事が楽しくて、脳が活性化してきたからに違いない。
吉田氏がアナウンサーをしているとき、会社の経営者をインタビューするとき、皆さん、話が面白くて、アナウンサー泣かせの退屈な人はほとんどいなかったそうだ。
彼らは、難しいことを言うわけでないが、新製品開発の苦しみや成功の喜びを体全体でいきいきと表現してくれたそうだ。
そのとき、吉田氏は、経営者は人とのコミュニケーションをとり方が上手であると思った。しかも、表現力が実に豊かだ。
ということは、感情を豊かにすれば、脳機能が向上してくれるので、ビジネスにおいて桁違いの成功を勝ち取ることができるのではないかと、吉田氏は確信を抱くようになったそうである。
表現力豊かな会話は、自分の脳の機能も高めるが、相手への説得力も増す。
吉田氏が政治家の秘書を勤めていた頃、政治家の独特のイントネーションをつけた演説を聴かされたときは、その内容が記憶として長く残り続けるが、同じ内容であっても、官僚が原稿を棒読みしたときは、聞いた後、すぐ忘れてしまう傾向があったそうだ。
いくら「左脳」が優れ、論理的に話しても、そこに感情がこもらなければ、相手を説得させるのは難しい。
いいことを言っているのが、あいつの言うことは聞きたくないと思わせる人物がどの世界にもいる。そういう人の話し方をチェックしてみるといい。感情に訴えないか、下手をすると、感情を逆撫でするような抑揚で話をしているはずだ。
相手の感情に訴える言葉を「右脳言語」と呼んでいる。
かって、NHKの研修では、この「右脳言語」は、次のようなやり方で訓練させていた。
「東京都渋谷区神南1−1−1 NHK」
これを、悲しみをこめたり、うれしい感情をこめたり、怒りをこめたり、いろいろ感情を変えながら100回読み上げていたという。
訓練名は「住所100回」と呼ばれていたそうだ。
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